水は生命の根源。ハワイという自然豊かな島々で暮らす上では、水が単なるインフラではなく、文化、暮らし、ビジネスを支える存在になっています。観光で訪れる人は「きれいな水道水」「青い海」に感動しますが、移住や長期暮らしとなると、その裏にある水資源の管理、文化的価値、選択肢やリスクを理解する必要があります。
この記事では、ハワイの水道事情、雨水の利用、文化としての“水”、ボトルウォーター市場などを通じて、「ハワイに住むとはどういうことか」を浮かび上がらせます。移住やハワイでの事業進出を志す方にとって、水の扱い方や考え方は不可欠なテーマです。

ハワイの水道水事情:軟水寄り、だが注意も
ハワイの水は、火山島地質を通じてろ過されるため、ミネラル含有量が比較的低めで「軟水〜中硬水」に位置づけられることが多いといわれ、これは多くの日本人にとって飲みやすい水質です。日本の一般的な水(50 mg/L前後の硬度)と近く、「違和感なくおいしい」と感じる人も多いでしょう。
オアフ島ホノルルでは、水道水は地下水・地下帯水層から供給され、塩素処理やモニタリングも行われています。実際、ホノルルの水質レポートでは「世界でも非常に良質な水道水」の位置づけが謳われています。また、ハワイ州保健局のSafe Drinking Water Branchも、水源保護や飲料水の品質維持に取り組んでいます。
とはいえ、水道水が常に“そのまま飲める=安心”とは限りません。例外として最も象徴的な出来事が Red Hill 水危機 です。2021年、オアフ島の地下燃料貯蔵施設から燃料が地下水に漏出し、ホノルル市の水道システムに影響が出た事件は、水の安全をめぐる意識を根底から揺さぶりました。
また、ハワイ州全域では、汚染源の流入、気候変動による降雨パターンの変化、海岸・沿岸汚染などが水質に影響を及ぼす懸念も指摘されています。例えば、島のほとんどの飲料水供給が地下水に依存しているため、降雨量が少ない地域では水の枯渇リスクも取り沙汰されています。
雨水タンク(Catchment System)と暮らしの工夫
ハワイの中には、水道インフラが整備されていない地域もあり、そうした地域では 雨水収集タンク(Catchment System) が伝統的かつ実用的な方法として用いられています。屋根に降った雨をタンクに溜め、飲料や生活用水へと再利用する仕組みです。
こうした暮らしでは、水に対する意識が非常に高くなります。
たとえば:
- シャワー時間を3分以内に制限
- 洗濯をまとめて行う(2〜3日に1回)
- タンクの水には紫外線ランプや漂白剤で殺菌処理
- 雨が降らない期間は節水を徹底
これらは、日本ではあまり意識されない「水と共に生きる意識」が日々の生活のなかに根づいている例です。一部の住宅では自治体補助や税制優遇を受けて、雨水活用システムを導入する動きも見られます。こうした技術や施工、メンテナンスサービスは、移住やローカルビジネスの参入機会としても注目できます。
水は文化的にも“聖なる存在” — Wai(ワイ)と聖水観念
ハワイ語で水を意味する「wai」は、単に“水”の意味だけでなく、「富」「命」「清らかさ」を象徴する言葉でもあります。地名や文化表現にも広く残っており、ハワイ文化に根深い存在です。
- 地名例:Waikīkī(ワイキキ) は「湧き出る水の場所」という意味。
- 滝や泉は儀式や祈りの場としても使われ、汚染を避ける禁忌(Kapū)が今でも尊重される地域もあります。
地域住民やハワイ先住民族は、水源・河川・湧水を守る活動を活発に行っており、ペットボトル削減のためのリフィルスタンド設置、清掃活動、水質モニタリングなどが広がっています。こうした文化的な「水を守る」意識は、移住者や事業者にも尊重されるべき価値観です。地域営みと調和しながら水を扱うことは、信頼構築に重要です。
ボトルウォーター市場とブランドストーリー
水道水が供給されている地域でも、ボトルウォーター市場は強力に成長しています。ハワイには、地元ブランドが持つストーリー性を前面に出したプレミアム水の存在感があり、観光客やローカル家庭で広く流通しています。
代表的なブランド例:
- Waiākea Water:マウナロア火山の地下水を通じて自然ろ過されたアルカリ性ミネラル水。ブランドは「健康」「持続可能性」「社会貢献」を軸としています。
- Hawai‘i Volcanic/Hawaiian Springs など:ハワイの水源を前面に出したブランドが複数存在します。
ただし、最近では Waiākea の一部製品で浮遊物混入の苦情があり、一部ロットがリコールされた事例も報じられています。こうしたリスクも含めて消費者の信頼を得ることがビジネスにとって重要です。ボトルウォーター事業やリフィルステーション、地域配達、エコ容器導入など、水を扱うビジネスにはストーリー性と品質管理が求められます。
水という視点から見えるビジネス・移住のヒント
ハワイ移住やハワイでの事業進出を考える人にとって、水は単なるユーティリティではなく、多面的に捉えられるテーマです。
- 住まい選び・インフラ予算:地域によっては雨水タンク設置が必要な場合もあり、コスト想定が変わる
- 水質モニタリング・メンテナンス事業:水道網維持、家屋の浄水設備、タンク清掃などのサービス需要
- ボトルウォーター/高級水ブランド:ストーリー性を持つローカル水ブランドで市場参入の可能性
- 教育・文化ツーリズム:水源巡り、湧水体験、伝統儀礼と水をテーマにした文化観光プログラム
そして何より、水を敬い、守る姿勢を持つことが、地域住民との信頼を築く礎になります。
まとめ:ハワイの水と共に暮らすということ
ハワイの水は、日本人にとって飲みやすい水質でありながら、その背景には地質・気候・文化・リスクが複雑に絡み合っています。暮らしのリアルな面では、雨水収集、節水習慣、ボトルウォーター選びなどが不可欠になります。また、水はハワイ文化そのものとして尊ばれており、ビジネスや地域との関係構築にも深く影響します。
ハワイに住むことは、水の恵みに感謝し、文化を尊重しつつ、自然との調和を日々の暮らしで実践すること。この島で「水とともに生きる」経験は、単なる移住以上の気づきをもたらすでしょう。
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